社長は「スーパー営業マン」を辞めなさい

 

 


◆ 権限委譲しないと大幅な売上増は見込めない

   中小企業の社長の中には、自らが「スーパー営業マン」として、現場の第一線で仕事を獲得している人が少なくありません。そうした社長がいる会社は、ある程度まで業績を上げても、たいていは売上が伸び悩みます。

なぜなら、部下である営業マンたちを、まるで自分の手足であるかのように、こき使い、権限委譲をしていないからです。

私の知り合いのコンサルタントは、次のように言っていました。

「売上2億円の会社を10億円にしたければ、社長は営業をやめてください」

つまり、大きく会社の売上を伸ばそうと思ったら、これまでやってきた「スーパー営業マン」から身を引き、営業の権限を他の営業マンに渡さなければいけない、というわけです。

この提言に対して、約半分の社長は、自ら営業の第一線から退くことを決断しますが、残りの半分の社長は抵抗を感じ、そのままスーパー営業マンを続けることになります。もちろん、権限委譲を決断できない社長の会社の売上は、大きく伸びることはありません。

 

◆ 権限委譲をしても「丸投げ」はダメ

社長が「スーパー営業マン」を卒業し、たとえば、5人の営業マンに権限を委譲すれば、2億円×5人で10億円の売上を上げることができます。

スーパー営業マンを卒業できない社長の多くは、「自分が営業をしないと、売上が上がらない」「部下に2億円を稼ぐ力はない」という不安から、権限委譲を拒みます。

もちろん、いきなり「さあ、あとは頼んだ」というのでは、うまくいきません。社長は、自分の「分身」を育てる覚悟が必要です。

ですから、最初の1年間は移行期間とすればいいでしょう。そして、社長自らが営業先に同行して、どのように営業すればいいのかを営業マンに肌で覚えてもらうのです。

私は今も、部下を連れて、営業先へ出かけることがあります。30代半ばのコンサルタントは、だんだん仕事に慣れてきて、現場で「あるべき論」を語ったりしがちです。

しかし、私は今でもベタベタの現場型のコンサルティングをするので、彼らは私の営業姿勢を見て、「自分のやり方は間違っている」と気づくことも少なくありません。

営業に同行しながら、徐々に自分のノウハウを伝えていく。こうすることで、営業マンは育っていき、正式に権限委譲を果たせるのです。

 

ただ、権限委譲をするときに気をつけるべきなのは、決して丸投げはしないことです。

定期的な指示とチェックは欠かせません。そうしないと、自分の知らないところで問題が大きくなっていたり、取り返しのつかない事態に陥ったりします。

指示とチェックをするといっても、定期的に面と向かって、「○○はどうなっている?」と聞けば十分です。もし、部下が何かを隠していたり、問題があったりしても、実際に顔を見れば見破ることも可能でしょう。

もし指示が必要であれば、「このようにしてみたらどうか」と問いかけながら軌道修正をしてあげる。ここで、「ダメじゃないか。こうしろ!」と命令してしまったら、いつまでも権限委譲はできません。