ディズニーで見つけたもの








アメリカ生まれの東京ディズニーリゾートの経営に長年携わってきた福島さんは、「和の心を大切に」を持論にしている。

「ウォルト・ディズニーは1901年に米国・シカゴで生まれました。アニメーターとして成功して、『人々に幸福を与える場所』としてディズニーランドをつくりました。大人も子どもも一緒に楽しめる遊園地がどこかにあってもいいじゃないかという発想でつくり上げたのです」

東京ディズニーリゾートは今年、開園30周年。この地が海だったころに入社して、ずっと運営に関わってきた。人気が衰えない理由のひとつが和の精神だと確信している。

まず入り口。東京ディズニーランドはワールドバザールを通って入園し、ディズニーシーはホテルの通路を経て入ります。茶道で茶室に入る『にじり口』と同じです」「狭い『にじり口』は腰をかがめないとくぐれない。豊臣秀吉のような天下人も刀を取って茶室に入ります。そこは身分の上下や貧富を問わず主人がもてなしの作法を繰り広げる小宇宙です」

私たちも『トンネル効果』で入り口からゲスト(来場者)を日常から解き放つ魔法にかけるのです。社員やスタッフたちのもてなしには繊細で、きめ細かな気配りや心遣いが横溢しています。マニュアルなんかありません。それも和の心なんです」「ディズニーの神髄は和の心にあり」と気づいてから、和の精神の探求にいそしんだ。まず取り組んだのが江戸しぐさの勉強だった。

江戸しぐさは相手を思う気持ちが形になったものです。先人たちが営々と築いてきた日本が

  世界に誇れる和の心の象徴です。礼儀正しさ、誠実さ、思いやり、優しさなど日本人の徳目をし

ぐさに凝縮しています。それが希薄になっているのは残念です

福島さんは江戸しぐさの研究者で語り部の越川禮子さんに学び、感銘を受けた。

「越川さんによると、しぐさは『思草』。草は行為や行動で思いを行動に表すことなんです。

例えば、他人に足を踏まれたとき、こちらにも非があったと謝る『うかつあやまり』、

狭い道ですれ違うときに少し身を引く『肩引き』や雨の日の『傘かしげ』……。

江戸という都会で自然に根付いた人間関係の潤滑油のような感性です。親の思草は子どもに影

響を与えます。良き姿を見せることが大切です」

 「人間の精神を形成する基本は知・情・意。知は知性、知識、技術で、情は感情や感性、意は

意欲や意志です。戦後の日本は知と意に偏重して情を置き去りにしてきたのではないか。この3

つがバランス良く機能しないと人は健全に育たない。国もそうです」「情」こそが和の心の源泉

だという。

「自然と共生して育んできた繊細な感性や美意識、小さいものやかわいいものを愛する優しさ、

細部にこだわる匠の技、約束通りにやり遂げる勤勉さと律儀さ。こうした和の
DNAが日本を

けん引してきました。それをもう一度見直せば、グローバル化が急ピッチで進む中、日本はパワーを

発揮できるはずです。」

 

以上