「利益なくして安全なし」(1)
JAL会長・稲盛和夫が語る

 


       

JAL倒産の原因は「幹部の傲慢さ」と断じる。「この会社は倒産したんですよ」社員全員、自覚が第一歩でした。(日経ビジネス5/16)昨年2月にJAL会長に就任されてから1年余り。就任当時から現在までを振り返って、どういう心境でしょうか?の問いに語ったのです。

昨年の12月頃から、会長に就任してほしいという要請がありましたが、年も年ですし、全く未知の世界で任でなかろうかと断っていました。しかし、JALがこのまま倒産すれば経済への影響が非常に大きい。日本の航空会社の象徴ですし、何万人もの雇用を守ることが経営者として重要と思い、引き受けようと決めました。

着任してはみたものの、今までの経験とは全く質が違い、どこから手をつけていいのか分からない。ただ気づいたのは、JALの幹部には経営者として資質のない人があまりにも多すぎる。ということです。これでは八百屋の経営もできない。私の発言でだいぶ社内が不快な思いをしたようですが、誇張ではなくそう思いました。

JALは「立派な会社」として、ちやほやされてきた長い歴史があるものですから、知らず知らずのうちに幹部が傲慢になってしまっていた。そのために顧客を失った。それが倒産の原因だったと考えています。まずは社員の意識を変えるところから手をつけました。一番力を入れたのは、まず「この会社は潰れたんですよ」と自覚してもらうこと。JALの再生は、国土交通省などが支援して、飛行機を飛ばし続けながら行うという異例の方法でした。

運航も止めずに職場もそのまま残っているから、本当は職を失って路頭に迷わなければならないはずなのに、誰も潰れたという意識がない。とにかく倒産したという意識を社員全員に持たせ、なぜ潰れてしまったのかを考え、深く反省してもらう必要があった。

意識改革を図るために、昨年の6月から役員ら50人以上に集まってもらい、共同勉強会を始めました。今回までに1500人ほどに受講してもらった。その場で倒産したという現実を共有し始めたことで、皆さん真面目に勉強をしてくれました。昨夜も6時半から9時、100人以上が集まって勉強会をしていたんです。幹部の意識が変わると正比例して業績が上がってきました。その点は非常に良かったと思います。

 

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