N0.29

興福寺貫首 多川俊映氏の「五根五力」についてのお話をご紹介します。
五根五力(ごこんごりき)

   五根五力は、根とも力とも喩えられる五つの心所(心のはたらき)のことだ。
 五根と五力だから合わせて十、ではない。

   その五つとは、@(しん) A精進(しょうじん) B(ねん) C(じょう)D(え)
 で、くだいていえばのようになる。

 

@    真なるものに、わが身わが心を委ね切ること。まあ、遠くに見定めた目
   標にいささかもブレない気持ち、か。

A    目標達成の努力を継続する。

B    目標を常に確認する。

C    その目標に一点集中する。
   そして、これら信・精進・念・定という心のはたらきがダイナミックな流れ
   と なった時、ものごとの本質を洞察する

D    慧が立ち現われ、つまりは、目標達成がなされる。

 

これら五心所を「五根五力」というのは、ちょうど植物に根が土中の水分や養分を
吸い上げ、その植物を成長させるように、私たちを成長させるので「五根」といい、
また、そういう根には、植物を大きく成長させる力があるので、「五力」というのだ。

 これは、他ならぬわが心のはたらきこそ、自分を変化させる力なんだ、という仏教の
 考え方を端的に示した言葉だ。しかも、うれしいことに、私たち誰もが、この五根五力
 を均等に付与されて、この世に生をうけたのだという。おたがい、宝の持ち腐れ
 に御用心だ。